「テントサウナ」という人類史上もっともイノベーティブなプロダクトが普及した今、サウナーたちは「どこでととのうか」をテーマに、日々模索を繰り返しています。
湖でととのう、川でととのう、滝でととのう。逆にあえての都会のど真ん中でととのう。
様々なととのうシチュエーションが存在する中、「ゲレンデでととのう」という究極の外気浴体験の企画が行われました。
その舞台は、新潟県湯沢町の「ガーラ湯沢」。
都心から新幹線で75分でたどり着ける人気のスキー場で、冬季期間は多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れます。
そんなスキー場のゲレンデに「サウナを設置してととのう」、少し頭の狂った企画をレポートいたします!
新幹線ホーム直結のスキー場「ガーラ湯沢」
施設の営業期間内は上越新幹線が停車する「ガーラ湯沢」駅が利用でき、駅直結でスキー場へ行けちゃいます。
ガーラ湯沢に行き来するためだけの「ガーラ湯沢」駅。
新幹線の改札口を抜けたその先が、すでにガーラ湯沢。ここで降りたらゲレンデに行くことしかできません(笑)。
まずは総合エントランスで施設の受付を済ませます。
受付が完了したら、早速ゲレンデに向かいます。ゲレンデへはゴンドラを利用。ゴンドラに乗ってサウナに行くって…なんだか…ワクワクします!
みんなスキー板やスノボ板を持って万全な服装で向かう中、水着を持ってフラっとゴンドラに乗り込みます。
ゴンドラ乗車時間は6〜7分。湯沢の雪山の景色を眺めながら、徐々に高度を上げていきます。
ゴンドラから降りると、サウナ利用者向けにスノーモービルがスタンバイしています。なんとこれに乗ってサウナ会場まで移動! スノーモービルに乗れる機会も少ないので、嬉しい演出です。
スノーモービルで雪山をスイスイ進みます! めちゃくちゃ気持ちいい! ちなみに、行きだけでなく帰りもこのスノーモービルに乗るので、さらに“追いととのい”しそうです。
迫りくるゲレンデを目の前に、サウナ愛溢れるセッティングのサウナ
スノーモービルに揺られること約5分。スキーヤーやスノーボーダーが普通に滑っているゲレンデに、突如雪の壁が現れます(よく見ると、煙を吐き出す煙突もチラッと)。
こちらがサウナ会場です! ゲレンデをバックに秘密基地のようなアウトドアスペースが作られていました。「早くサウナに入りたい! 」その衝動を抑えつつ、まずはサウナ利用の受付を行います。
安全な利用方法の説明を受けた後、規約・利用同意書にサインして、受付完了!
各組で1つ、ロウリュ用に好きなアロマオイルを選べます。
フィランドのサウナブランド「rento」や、アロマブランドの「アットアロマ」など、香りを試しながら好みのものを選びましょう。
タオル・サンダルも無料で貸し出ししているので、参加者は水着だけ持参すればOK!
ちなみに、外気浴の際に羽織るガウンも無料レンタル可。日本のルームウェアブランド「TETERA」製のモコモコのガウンです。肌触り最高で、ととのった身体をやさしく包み込んでくれます。
水着に着替えて準備ができたら、いざサウナへ!
テントサウナはモルジュ製が2台。1組(4名まで)に1台利用できます。
サウナに関する監修は、埼玉横瀬町で活動する「川とサウナ」チーム。積み重ねてきたサウナイベントのノウハウを注入し、サウナホスピタリティ溢れるテントサウナとなっています。
サウナ室内を見ても、細かい配慮の行き届いたセッティングがわかります。床面にはグランドシートを引き、サンダルを脱いで入ることも可能。足が汚れなくてとても良いです。
ストーブはストーンホルダー付き。石を高く積み上げられるので、より強力なロウリュが楽しめる代物です。
さらにストーブガードも設置され、安全面の考慮も最大限なされています。
先ほど選んだアロマ水でロウリュもよし、テント内に用意されているしっかりと漬け込まれたヴィヒタでロウリュするもよし。いろいろなバリエーションで香りを楽しめます。
ストーンホルダーで増し増しになったサウナストーンにロウリュ! 熱された石が一気にテント内を蒸気で包みます。最高。
さあ、身体が限界まで蒸されたら、続いて向かうは極上の水風呂!
どうですか、ズドンと伸びるゲレンデを目の前にこの水風呂です。盛った雪にプールを埋め込むという今までにみたことのないスタイル。は、早く飛び込みたい…
水温は約2℃、部分的に凍ってます(笑)。
水風呂に入る前に、設置されている簡易シャワーで汗を流して…
2℃の水風呂へダイブ!(写真はイメージです。身体の負担が無いように、適切な入り方をしましょう)
氷が混じる水風呂に飛び込むと、ゴツゴツ氷が身体にあたるので要注意です(笑)。
そして今回追い求めていた「ゲレンデ外気浴」。目の前にあるゲレンデに視線を向けると、颯爽と滑るスキーヤーと自分の存在のギャップに謎の背徳感を感じます。たまらない。
焚き火を囲って、揺らめく炎を眺めるのもまた最高です。
利用時間は受付から着替え・撤収まで含め2時間半あるので、軽く5セットはいけちゃいます。骨抜きです。
と、ここまでの様子を見てサウナーの方は少し不安に思っていることがあるのでは…?
そう、サ飯です。「サ飯、あるのかな…」とソワソワしたサウナーのみなさん、ご安心ください。
サウナ会場にはレストランが併設されており、ここでしっかりサ飯も食べられます!
サ飯にうってつけの定番メニューも揃っていますが、このイベント期間限定のサウナ向けメニューも用意されています。
写真は「雪国まいたけと牛丼のかぐら南蛮ホットチリソース(税込1,200円)」。新潟産のまいたけや、かぐらなんばん(長岡市の名物。ピーマンのような唐辛子)を使ったチリソースをかけたオリジナル料理です。ミネラルや塩分が失われた身体に沁みわたる、最高のサ飯です!
ゲレンデ外気浴は日本でも初の試み。熟練サウナーも納得のクオリティで、ふりきりまくった非日常体験に、多くのサウナーがととのいまくるでしょう。
帰りもスノーモービルに乗車! 火照った身体に湯沢のゲレンデの風が心地よく、気を抜くとここでもととのいます、落下注意(笑)。
さて、ここまで読み進めて、もう一つサウナーが気にしていることがあるでしょう。「サウナ後のお風呂やシャワーはあるのか…」ですよね?
ご安心ください。
ガーラ湯沢には温泉・SPA施設が併設されており、サウナイベントにはこちらの利用券も含まれています! やはりサウナ後にお風呂の大切さはサウナーなら誰しもが感じていること。帰りがけにぜひあたたかい温泉を楽しんでみてください。あ、SPAにはサウナもありますよ(笑)。
最後に、今回の企画を手掛ける、東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部の村上さんに、イベント実現までの数々のハードルについて伺いました。(運営するガーラ湯沢はJR東日本のグループ会社)
期間限定のテントサウナイベントとして公衆浴場法に則(のっと)った開催
ーサウナランドはサウナ専門のメディアなので、ちょっと踏み込んだ気になることを伺いたく…。テントサウナでイベントを行う人たちが直面しているハードルの一つに、公衆浴場法の営業許可があります。今回は、どのようなカタチで開催したのでしょうか。
村上さん
今回の「GALA meets SAUNA in ガーラ湯沢」は、公衆浴場法に則った営業許可を取得して開催しています。
ーテントサウナは一般的には公衆浴場には適合しないなど、いろいろな声が上がっていますが、今回はどのように申請されたのでしょうか。
村上さん
まあ、簡単ではなかったですけどね(笑)。まず、公衆浴場法に記載されている項目、例えば「シャワーの設置が必要」という項目があれば、それに対して今回のイベントはこのように対応しています、と、公衆浴場法に規程されている条文を全て1対1で突き合わせて確認できるよう、申請書の別紙を用意しました。
ーすごい、そこまでやってようやく、なんですね…
村上さん
保健所も慣れている事例ではないので、一緒に実現方法を模索するカタチでした。保健所と何回もやりとりしました(笑)。
ーそんな努力あっての今回のサウナなんですね。ありがたや。特に大きな障壁になったことはありますか?
村上さん
大変だったのは、会場の遮蔽ですね。保健所からは、公衆浴場の外から、つまりゲレンデから見通しができないような構造にして欲しいと。で、ガーラならではの技で雪を積み上げて、2mの雪の壁を作ったわけなんです。
ーなるほど!だから会場が壁に囲われているんですね。
村上さん
はい。でも、結果的に秘密基地感のある場所になりましたし、サウナーのみなさんも周りの視線をそこまで気にしなくて済むようになったので、とても良かったです。
村上さん
そのほかにも、今回は湧水を引いているのですが、その水質検査結果を提示したり、循環濾過装置を設けたりと、水回りについて会話を重ねてきました。その結果、お客さまに水風呂を安全に、安心して楽しんでいただけるようになったと思います。日によっては水温が1度を下回ることもあり、とても喜んでもらえていますが、楽しむための前提をしっかり整えることはとても大切ですね。
保健所だけでなく、建築や消防にも伺いましたが、どうやったら実現できるかを一緒に考えるという前向きなプロセスを踏めました。地域を盛り上げたいという部分で共感できていたことがとても大きかったと思います。
ー今年のシーズンは終了ですが、今後の展開は?
村上さん
今年はコロナの影響もあり、実施期間がかなり限定的になりましたが、来年はさらに充実した準備をした上で、より多くの方に最高のととのい体験を提供したいと思っています。また、通年通して実施できるようにしたいと思います。新潟ならではのサ飯コンテンツやアロマなども用意して、地域に貢献したいですね。パワーアップした「GALA meets SAUNA」を体験しにきてください!
期間限定で開催された、ゲレンデ外気浴を楽しめる「GALA meets SAUNA」。究極の非日常空間でサウナを楽しめるだけでなく、新潟産の食材で作ったサ飯を楽しんだり、スノーモービルととのいを体験できたり。様々な工夫を凝らしたサウナイベントでした。
今シーズンの開催は残念ながら満員御礼。来年開催の際、ぜひ参加を狙ってみてください。
【日時】
※今シーズンは完売
2021年3月5日(金)~21日(日)
各日2部制。各部テント2基。
・1部 10:00~12:30/2部 13:00~15:30
・定員 1基1組 最大4名様まで
【金額】
・テント型サウナ1基1組 18,000円
・ゴンドラ券 1,500円(通常2,000円)
もしくは1日リフト券 3,200円(通常5,200円。ゴンドラ券含む)
【プラン内容】
定員4名のテント型サウナ1基の貸切利用
数種類から選べるロウリュ用アロマオイル
水風呂/焚火可能な外気浴スペース有り
スノーモービル送迎付き
人数分の大小タオル1枚ずつ、サンダル貸出し有り
鍵付きロッカー、男女別更衣室有り
ガーラの湯(スパ)利用券