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【体験レポート:TikTok チームラボリコネクト】“ととのう”ための洗練されたサウナと没入する境界のないアート浴 #チームラボサウナ

ー 見る側を「最高な状態」にして体験するアートの価値観提示

日本を代表する世界的なアート集団「チームラボ」が仕掛ける新しい展覧会「チームラボ &TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」。ついに3月22日にオープンが迫りました! サウナランドでは展覧会の建設中から取材を実施。チームラボ代表 猪子氏にもインタビューを行い、今回の作品に対する想いや「アートとサウナ」の歴史などを伺いました。

猪子氏のインタビュー記事はこちら(前編)

オープンを目前に控えた3月15日、取材班は一足先に展覧会を体験させていただきました。

「意識が持って行かれるほどの超自然現象アートを、サウナでととのい『最高な状態』で体験するとどうなるか」世界に対して新しい価値観を提示する、壮大な実験の意味を込めた展覧会を余すことなくお伝えするレポート。 猪子寿之×箕輪厚介の前回未収録インタビューと併せて、お届けいたします!

期間限定の施設とは思えない充実のアメニティや設備

TikTok チームラボリコネクトの会場は六本木のど真ん中。六本木蔦屋書店目の前の一等地にあります。会期は2021年3月22日〜8月31日。時間は10:00-23:00(最終入館21:30)と、仕事後にも利用できる嬉しい時間設定です。

意外とシンプルな見た目の会場。今回のコンセプトの1つでもある「高級な場所でアートを見るのではなく、最高な状態になってアートを体験する」を表すため、あえて内部とのギャップを狙っているそう。

受付後は、体験方法の解説動画を観賞。サウナ→冷水→アート浴(休憩)を3セット繰り返して、身体を“最高の状態”にしてアートを楽しむ方法をインプットします。

その後、館内着・水着をピックアップ。男性は館内着の短パンが水着兼用、女性は別途水着を着用しますが、水着の上に館内着を着たままでの利用も可能です。

写真は、無料で利用できるアメニティ一式。スマホなどに使える防水ケースまでレンタルしており、 細かい配慮が凄まじいですね!

サウナ室・冷水シャワー室以外は、マスクの着用が必要になりますが、マスクとマスクケースも備えてあるので安心。

更衣室のロッカーは、地味にうれしい大きめサイズ。しかもオールブラックめちゃかっこいいです。

更衣室内の温水シャワー。サウナ・アート浴前に体を清めます。シャンプーなどのアメニティもしっかり用意されているので、汗をかいた後もスッキリできます!(ドライヤーや化粧水なども完備)

水着&館内着に着替え、シャワーを浴びたらいざサウナへ! いよいよ、アートとサウナの体験がスタートです。

すべてが異なる7種のサウナ室はサウナーも納得のクオリティ

更衣室を出るとサウナエリアへとつながります。サウナ室の手前には待ち合わせのスペースがあり、男女で訪れた場合はここで落ち合うと良いでしょう。

待ち合わせスペース・サウナエリアの天井に展示されているのは、最初のアート作品「呼応するランプのアレイとスパイラル – ワンストローク, Metropolis Tokyo」。サウナ室に出入りするとその動きに呼応し、サウナ室のカラーがランプに伝播する。様々なサウナ室が利用されているほど、ランプはカラフルになるそう。

▲タップで動画が再生されます(音無し)

サウナ室は、全部で7つ(うち、2つは女性専用)。中温多湿から超高温ドライまで、様々な温度と湿度が組み合わされているだけでなく、音、香り、ライトの色も異なり、研ぎ澄まされた感覚を刺激するコンテンツが詰め込まれています。ちなみに音楽はサウナのための音楽として、チームラボがつくったものだそう。すごい…

メインサウナの一つ「Fire Red」。80℃にセッティングされた室内で、定期的にロウリュを行うフィンランド式サウナです。実際に入ってみると、サウナーであればその絶妙なセッティングの良さに気づくはず。「あ、すごくいい」。そんな感想が漏れ出ます。

全てのサウナ室を監修するのは、日本のサウナブランド「METOS社」。なるほど、即席とは思えないしっかりしたセッティングにも頷けます。
初心者から熟練サウナーまで幅広く楽しめるようなセッティングにこだわっているのは、サウナの老舗ブランドの技が融合していることも挙げられるでしょう。

そして、赤い室内の光の中でひときわ存在感を放つikiストーブ

※ikiストーブ=山積みのサウナストーンでインパクト大なフォルムの、フィンランド製サウナストーブ

ロウリュはスタッフの方が約15分に一度行います。ちなみに、この「じょうろ」でロウリュをするスタイル。勘が良い人は気づいたかもしれませんが、そう、かの有名な高知のサウナ「グリンピア」のメソッドを取り入れたランリュ(なぜランリュというのかは、近日公開のグリンピア紹介記事にて! )です。 この後、パネルを使った熱波(通称:熱波ネル)も。グリンピアファンは胸熱の演出ですね!

アロマ水はサウナ室ごとに異なるため、それぞれ香りの違いを楽しめます。「Fire Red」では、佐賀の「らかんの湯」でも使用されているほうじ茶ロウリュを体験できます。茶葉ブランドEN TEAをロウリュ用に配合したものだそう。贅沢すぎるでしょ。

また、各サウナ室内には、チームラボがデザインしてつくった光に照らされた輝く砂時計(5分計)も設置されています。各々の入浴時間をこの砂時計で図れるうれしい配慮。白い砂と、キラキラ輝く黒い砂のバージョンがあります。

ちなみに、各サウナ室の混雑状況や情報は、サウナ室外でチェックできるため、不用意にサウナの扉を開けなくて済みます。温度が下がらない工夫がされています。ほんと、何度も扉が開くと温度が下がってしまい、ととのいに集中できませんからね…とてもありがたい仕組みです。

気になる7室のサウナの全容は、記事の最後にまとめています。気になるサウナーはぜひチェックしてみてください!

水温良し!境界のないアート空間に没入できる冷水エリア

サウナのあとは冷水シャワーでクールダウン。TikTok チームラボリコネクトには2種類の冷水シャワーエリアが用意されています。

冷水シャワーにも作品が施されています。こちらは「円相を通り抜けて / Walk through the Light Circle」。

吹き出る水しぶきの空間に、ポンとあわられる円相。身体ごと通り抜けてシャワーへ到達します。丸い形の虹をみることはあまりありませんし、さらにその中に身体を投じる体験は普通はできません。

「不思議な感覚をまといながら」シャワーにたどり着きます。

▲タップで動画が再生されます(音無し)

直径30cmのシャワーヘッドから放出される冷水は約16℃。チラーを使って一定温度に保っているそう。サウナーはこの温度を聞いて、安心してしまいますよね(笑)。

シャワーは頭上と肩口の2箇所に設置されており、頭を濡らしたくない人は、肩口のシャワーでクールダウンできます。また、足元からも水が吹き出ているので、全身がくまなく冷やされます。「ととのい」へ誘う貪欲さがやばい。

もう一つの冷水シャワーの作品「円相に迷い込んで / Step into the Light Circle」。

水しぶきに映し出しされた蝶は、手をかざすと反応するインタラクティブな動きをする作品。当然、この中にも身体ごと入り込めます。完全に境界のない作品ですね…

▲タップで動画が再生されます(音無し)

ととのい具合で見え方すら変わるアート浴エリア

サウナでしっかりと汗をかき、冷水シャワーでクールダウンしたら、セットの最後にアート浴エリアへ。アート浴は3種類用意されており、セットごとに変えるもよし、毎回同じ作品を見て、ととのい具合によって作品の見え方の違いを楽しむもよし。自由なスタイルでアートを楽しみましょう。

アート浴前に必要に応じて適度な水分補給を。施設内にある給水機は、冷水と常温の2種があり、体調に合わせて適温の水が選べます。

一つ目のアート浴「降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命 – A Whole Year per Year / Proliferating Immense Life in the Rain – A Whole Year per Year」

現実と同じ様に、季節ごとの花が咲き、そして散る。人が座った場所から花は散っていき、同じ瞬間の絵は二度と現れないそう。なんとも儚い気持ちになりながら、完全にアートに没入していることに気付いた瞬間、「ととのい」とアートへの没入の体験を実感します。

2つ目のアート浴は「生命は結晶化した儚い光 / Ephemeral Solidified Light」。
様々な光の結晶が空間に浮かんでおり、色が変わったり、上下に動いたり、はたまた伸びたり縮んだり。そんな光景を目の当たりにすると、ついついこの光の中に身を投じたくなります。

水の柱に手を伸ばして、輝く光の滴をしばらく見つめてしまいます。

ちなみに、あえて目をぼやかしてアートを見ると、様々な色が眩いばかりに煌めき、完全に非現実世界まで連れていかれますね。はい、ととのってます。

3つ目のアート浴は「空中浮揚 / Levitation」。この場に作られたエネルギーの秩序により、宙に浮いた球体を眺めながらととのいます。
球体は吊ったりしてません、完全に浮いてます。

球体は赤い光を放ちながら上昇したと思ったら、次の瞬間には、青い光となって下降する。

少し軌道を外れると、地面に落ちて転がり、紫色になり、グラデーションの様に青や赤の色が交わります。その姿は、まるで生物が脈を打っているよう。しばらくすると、また、自ら、ゆっくりと浮き上がっていきます。

サウナ後の「ととのい」状態では、この球体の動きだけに意識を持って行かれ、球体が一体何なのか、そして自分の存在は何なのか、そんな問いを繰り返してしまっている自分がいました。

▲タップで動画が再生されます(音無し)

温冷交代浴により、完全に副交感神経に切り替わっている状態で、様々なアートをみる体験。どれも、没入感のある作品のため、自分が世界の一部になったような感覚になる、いままでにない体験でした。

最後に、雑誌「サウナランド」編集長の箕輪厚介が、チームラボ代表の猪子氏に、今回の展覧会のコンセプトなどを伺ったインタビューをお届けします。

「超自然現象の仮瞑想」と「ととのい」で、“もっと深いところ”にいきたい

箕輪:今回どんなところが面白いんですか?

猪子:全体で言うと、えーっと…超常現象。もうちょっとちゃんとした言葉で言うと超自然現象をテーマにした作品を体験してほしいと思ってる。で、全然関係ないんだけど、これまでの話と。

箕輪:え、ここは連続してない?(笑)。

建設中のチームラボリコネクトで、作品のコンセプトを話す猪子氏

猪子:全く関係ない(笑)。全く関係ないですよ。いつも常に。全く関係ないんだけど。いつも常に生命とは何かっていうのすごい興味があって、生命とは何かってのは自分の中のテーマだから。その中で、今っぽい話をすると、生物学では、生物の定義をするわけ。境界を作るわけ。境界を作った瞬間に、ウイルスは生物じゃなくなる。

箕輪:はい。

猪子:それはなんでかっていうと、生物の定義っていうのは、自己増殖できるとか、細胞膜があるとかになっちゃう。そうすると定義からすればウィルスは生物じゃない。じゃあ生命じゃないかっていうと生命じゃん。このテーブルの鉄とか弁当のプラスチックとかと同じなの? 違うでしょ。生きてるじゃんウイルスって。でも生物ではないことになってる。

箕輪:定義をしちゃうとってことですよね。

猪子:で、生命かそうじゃないかっていうのは、本来は定義が出来ない。境界が付けられないかもしれない。でも一体何なのかっていったときにさ、生命とは、エネルギーの秩序なのかもしれない。

箕輪:うん。

猪子:エネルギーの秩序状態が極めて高いのが生命。で、エネルギーの秩序が低いのが非生命。つまり分かりやすいこと言うと、この宇宙はエントロピーが増大する方向に行くのに、生命だけが増大しないわけ。正確には、増大しないように見えるわけ。世界ってのは必ず崩れていく。散らかっていく。
でも生命体は崩れないじゃん。目も鼻も口もだいたい同じ場所に明日もあるんですよ。反対に、死んだらグッチャグチャになるじゃん。腐っていって散らかっていくんだけど、これってエントロピー増大の法則に反してるんだよね。宇宙の絶対的な法則に生命だけ反してる。

※エントロピー=無秩序の度合いを表す物理量

箕輪:うーん、万物は必ず崩れる方向に進んでいくはずなのに生命体だけ崩れない。逆に死んだ途端に崩れる。これが宇宙の絶対の法則に反しているってこと?

猪子:そう。だからもう生命そのものが超自然現象なのよ。

箕輪:うーん。

猪子:宇宙の絶対的な法則に生命だけ反してる。だから生命そのものが超自然現象なのよ。だからエネルギーの秩序を作ると、ちょっとした超自然現象ができるんじゃないか、みたいな。

箕輪:話としてはなんとなく理解できた。

猪子:だからエネルギーの秩序を作って玉を浮かしたのよ。だって中空で上下するとか物理的にありえないじゃん。普通の物体は床に落ちるか天井まで上がるか。エネルギーの秩序の量で中空を上がったり、下ったりしている。エネルギーを可視化しているとも言える。

箕輪:宇宙の法則に反した超自然現象を見ると、一瞬頭がバグるというか「ととのう」に近い状態になるんじゃないかという仮説があるんですね。

猪子:深いところまで行けたら良いなと。玉が浮くって超自然現象じゃん。その時にさ、結構自分が持ってかれて、ちょっと瞑想状態みたいになるの。ととのう状態も瞑想状態みたいな感じじゃん。なんか相性良いのかなって思って。

箕輪:たしかに「ととのう」は自分が持ってかれるみたいな感覚がありますね。

猪子:そう。両方とも日常とはちょっと違った脳の状態をもたらす。「ととのう」っていうのは、熱いサウナ入って、冷たい水風呂入って、半強制的に脳が開いた感じになる。
で、超自然現象を見て仮瞑想みたいになるのも、自分が持ってかれて、脳が特殊な状況になって、世界の見え方が変わる。それが同じ種類なのか、違う種類なのか分かんないんだけど。ただ合わさると、より深いところに行けるんじゃないかって。

箕輪:まだ分からないけど。

猪子:うん。でももし行けるんだったら、俺は行きたい。


最高級の場所で見るアートから、見る側を「最高な状態」にして体験するアートで、今までとは違う価値観を提示する展覧会「チームラボ &TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」。境界のない世界を伝えるために、猪子氏が長年チャレンジしてきたアートが全く新しい形で表現されています。

実際に展覧会で体験してみると、「ととのって最高な状態で見る」ことを徹底的に突き詰めたこだわりを、サウナ室・冷水・アート浴の全てに感じました。

TikTok チームラボリコネクトは2021年3月22日から2021年8月31日までの約半年間の期間限定展覧会です。半年後には2度と味わえない体験となってしまう展覧会ですので、ぜひ足を運んで、現場でととのい、アートに没入することで“さらに深いところ”へもっていかれる体験をしてみてください!


※参考※ お好みのサウナがすぐにわかる! チームラボリコネクトの全サウナ室一覧

全7種類のサウナは、どれもコンセプトを持ったコンテンツ。カラー、音、香り、温度、湿度、それらが全てコンセプトに基づきセッティングされているため、「ととのう」ために自分の好みのサウナ室を選んで入れるうれしい設計です。
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Fire Red
色:レッド
温度:80°C
湿度:ロウリュ多め
Music:Fire / 炎
アロマ:ほうじ茶

Water Harp Cyan
色:シアン
温度:70°C
湿度:ロウリュ多め
Sound:Water Harp / 水琴窟
アロマ:白樺

Burning Magenta
色:マゼンタ
温度:100°C
湿度:ドライロウリュなし
Sound:Burning Wood / 焚き火
アロマ:なし

Underground River Blue
色:ブルー
温度:100°C
湿度:ロウリュあり
Music:Underground River / 洞窟の川
アロマ:松

Forest Wind Green
色:グリーン
温度:90°C
湿度:ロウリュあり
Sound:Forest Wind / 森の風
アロマ:ジュニパー

Static Pink(女性専用)
色:ピンク
温度:80°C
湿度:ロウリュあり
Music:Pink Noise
アロマ:シナモン&ジンジャー

Silent Yellow(女性専用)
色:イエロー
温度:90°C
湿度:ドライ ロウリュなし
Sound :Silence / 無音
アロマ:なし


展示名チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木
会期2021.3.22(月) – 8.31(火)
時間10:00-23:00
※ 最終入館 21:30
※ 3.22(月) – 4.23(金)の平日は12:00-23:00 (最終入館 21:30)
休み不定休
住所東京都港区六本木5丁目10-25
チケット平日 4,800円
土日祝・特定日 5,800円
チケット購入チケット購入公式サイトにて予約
公式サイトhttps://reconnect.teamlab.art/jp

インタビュー編集:箕輪 厚介
レポート文・写真:浅見 裕
写真:M.RYOHTA