elämä サウナと人

「サウナに入りながらこれから入るサウナを考える」柳橋弘紀(プロデューサー)の頭の中

「マグ万平ののちほどサウナで(MRO北陸放送&YouTube)」、「サウナを愛でたい(BS朝日)」など数々のサウナ番組を手掛け、サウナの素晴らしさに魅了された敏腕のプロデューサー柳橋弘紀さん。

彼がなぜサウナをこれほどまでに愛しているのか、そして週2日以上通う「草加健康センター」への愛を、とりとめもなく存分に語っていただきました。

初めてのととのいが訪れたのは、2018年8月23日 16時45分

僕が初めてサウナでととのったのは、2018年の8月23日。時間は16時45分。
通ってるスポーツジムで友達からLINEで教えてもらったプロセス(サウナ→水風呂→外気浴)で入ってみたのがきっかけでした。

言われたとおりに一回やってみようと思って。
水風呂にちょっと長めに入ってみたら、だんだん温かくなってきて、体がポカポカしてきて、あーすげー気持ちいいなーと思って。で、浴槽にハァって座った途端に、その目の前がぐわんぐわんぐわんぐわんってなって、「うわ、なにコレー」って、すげー気持ちよかったのだけは覚えてるんです。

まぁ、いわゆる「ととのった」っていうそのディープリラックス状態が、3セット目に訪れたんですよね。

その日からは、サウナとともにある生活を送るようになりました。

「サウナサンドイッチ」ってスケジュールの組み方をしているんですけど

サウナに頻繁に入るようになってから、1日のどこかのタイミングでサウナ行くだけだと、物足りないんですよね。

僕は仕事と仕事の間にサウナを挟む「サウナサンドイッチ」っていうスケジュールの組み方をしているんですけど。サウナ前は次のサウナに向けてめちゃくちゃ頑張るし、サウナ後はものすごくリラックスしているのでめちゃくちゃ捗る。普通なら8時間かかる仕事も、サウナサンドイッチすると2時間くらいでできるんですよ。

……サウナサンドイッチって言葉、面白いですか? 大丈夫ですか?

世の中のカラオケボックスをサウナ室にしたい

僕、すっごい音痴で。それがコンプレックスで、人前で歌えないんです。だからもしめちゃくちゃお金があったら、世の中にあるカラオケボックスをサウナ室にしちゃう。サイズも丁度いいし、暗くできたりもするし、凄くいいと思うんですよね。

あー、カラオケボックスが全部サウナになればいいなぁ。

僕が話したのはカレー唐揚げで唐揚げカレーの話はしていないです。

僕、目黒区に住んでいるんですが、週2-3日は埼玉の草加健康センターに通っているんです。

で、草加健康センターに「カレー唐揚げ」ってメニューがあるんですけど。それがね、すごいんですよ。人間の味覚の五味を網羅してるんです。

まず、鶏の肉の旨味があって。ちょっと塩味があって、揚げたところの苦味があって。で、マヨネーズの酸味がちょっとあるところに練乳の甘味が来て。もう一気に来るから口の中で小宇宙ができちゃって。これは絶対食べて欲しい。

で、ここには「唐揚げカレー」というのもあって。僕が話したのはカレー唐揚げで唐揚げカレーの話はしていないです。でもカレー唐揚げ食べたいのに唐揚げカレーが来てしまうこともあって、店員さんも忙しいと分からなくなっちゃうからカレー唐揚げか唐揚げカレーを頼むときはメニューを指差して注文しようねと啓蒙してるんです。特に今の季節、秋になるとサバのカレー唐揚げも出て来て唐揚げカレーなのかカレー唐揚げなのかサバのカレー唐揚げなのかもうわけ分かんない。

だからちゃんと指差して「カレー唐揚げお願いします」って言った方がカレー唐揚げを頼んだのに唐揚げカレーが出て来ちゃったってこともなくなる。一回、「の」を入れた方が分かりやすくなると思ったこともあったんです。カレー「の」唐揚げ、唐揚げ「の」カレー。でもやっぱり分かんないから、メニューを指差しするしかない。

まあ、カレー唐揚げはおいしいっていう話ですね。

アマミイ・ロード

草加健康センターの駐車場から施設までの横断歩道がすごく好きで。ザ・ビートルズの「アビイ・ロード」の有名なジャケ写あるじゃないですか。メンバーが横断歩道を渡ってる。その「アビイ・ロード」とサウナ入った後に皮膚に赤い斑ができる「あまみ」ってやつを掛けて、「アマミイ・ロード」って呼んでる。良いでしょ。めちゃくちゃ好きなんですよね、アマミイ・ロード。

施設名に「サウナ」って入ってないし、「他にはできないサウナ体験を」って英語で書いてあるし、変態ですよ

草加健康センターって、施設の名前に「サウナ」って入ってないんですよ。客層も高齢の方や家族連れが多くて、はたから見たらニコニコしてる感じの施設だと思うんです。でもサウナ好きからしたらめちゃめちゃハードなセッティング。そのギャップですよ。

会計所の上にラッコの絵が描かれた看板があるんですけど、そこに英語で何か書いてあって。調べてみたら「他にはできないサウナ体験を」という意味だったんですよ。なぜか日本語で書かずに、英語で伝えてくるこの変態性がいいですよね。

「サウナ」とは

サウナ室でだんだん熱くなってくると余計な雑念が消えて、物質的な肉体への感覚もなくなり「今ここにただ在る」状態になります。ただ在るということを深く感じると、人生すべて自分の思考が作り出したものだと気づきます。ただ在るとは人間の本質。

生活していてつい考えてしまうのは……すでに取り戻せない「過去」と心配してもしょうがない「未来」のことばかりなんです。あからさまに我々は「今」をおろそかにしています。サウナは熱さに耐え切れなくなる寸前「熱っ!」としか考えられません。今に100%集中するマインドフルネス状態を自然に作れます。

なぜサウナにハマったのですか? と、よく聞かれますが……。
皮膚や血管も含めた肉体的な気持ちよさしか説明できてません。「実は精神的なもので、研ぎ澄まされたピュアな愛が全体を駆け巡り、ワンネスにつながる幸福感を感じられるからで、それが自分らしい生き方につながるからです」とまでは説明しきれないです。

自分も他人も動物も植物もこの世に存在するすべては独立して存在しているのではなく、全ては宇宙でひとつにつながっています。私たちが分離の意識をなくすことで、全ては自分の心の持ち様であるということをサウナは導いてくれました。そして、社会や環境に支配されていた心を解放してくれました。

わかりますか?

柳橋弘紀のある一日

5時:起床

9時:ジムのサウナで朝ウナ
家から歩いて30秒のところにあるジムサウナで1セット。
サウナに入りながら、今日どこのサウナに行こうかを考える。
ちなみにジムのマシンは一回も使ったことはない。手ぶらで来る変な客だと思われてる。

10時:サウナ案件以外の会議&打ち合わせ
基本、「早くサウナに行きたいなぁ」という気持ちが込み上げてくるので、サクサク終わる。どうしてもアイデアが出ない会議やまとまらない会議も、ずっと考えてもしょうがないので早めに切り上げて、サウナで考える。

12時:サウナ施設へのロケの連絡や打ち合わせ
撮影の仕込みの連絡をしたり、各方面からサウナ情報をヒアリングしたりする。日中のこの時間がサウナ施設の方と比較的連絡を取りやすい。

13時:サウナ施設へ車移動、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」を聴く
移動しながら、サウナ大好き女優・清水みさとさんのラジオ番組を聴いてサウナへの気持ちを高ぶらせる。

14時:サウナテレビ番組用の施設の新規開拓
プロデュースしているサウナ専門テレビ「サウナを愛でたい(BS朝日)」のロケ地をリサーチ。まだ行ったことのない施設へ赴く。実態は、ただサウナに入ってるだけ。

18時:妻と草加健康センターへ車移動
家から車で45分。埼玉県草加市の大好きなサウナ施設へ。(2020年8月は12回お邪魔しました)

19時:妻と草加健康センター
2セット → 夕食 → 2セット がルーティーン

22時:帰宅、サウナSNSで情報収集
サウナーやサウナ施設のSNSを見て、どんなことが話題になってるか? どんなサウナイベントがあるか? など、情報収集やサウナ界の空気を感じる。

24時:就寝


柳橋弘紀
株式会社33 代表取締役・プロデューサー。テレビ「サウナを愛でたい(BS朝日)」やラジオ「マグ万平ののちほどサウナで(MRO北陸放送&YouTube)」などサウナ愛好家が唸る番組を手掛けている。


Web版編集:黒羽 大河浅見 裕
文:菅原 啓太三宅 康之篠原 舞しばた ゆうこ
写真:浅見 裕

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  • プロデューサー

    柳橋弘紀

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