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【明石×三浦×箕輪】老害座談会特別編!箕輪が今度はエストネーションを終わらせる

エストネーションとサウナランドのコラボを記念して、六本木のエストネーション店舗にて行われた明石ガクト・三浦崇宏・箕輪厚介の三者座談会。雑誌サウナランド内でも好評だった“老害座談会”シリーズの特別編です!

港区でスーツを着ないで働いている人のためのエストネーション

箕輪:(座談会会場の様子を見て)若干、反箕輪の店員さんがいる感じがありますけど大丈夫ですか?

明石:いてほしい。

箕輪:今日はですね、サウナランド×エストネーションのコラボ記念トークイベントとして、サウナランド誌上の「老害座談会」を生でやろうということで、明石さん、三浦さんに来てもらいました。よろしくお願いします!

三浦:どうも~。

箕輪:今日はコロナ対策を万全にということで少人数になってますけど、応募自体は8,000人、9,000人ぐらいの応募があったというふうに聞いております。

明石:ホント? ホント? そんなわけないでしょ。

三浦:ビジネス芸人の時代の終わりもいよいよ象徴的だなと思って。箕輪の募集ツイートをうっすら遠くから見てたよ、俺は。

箕輪:まあまあまあ。今日はお題が「箕輪が今度はエストネーションを終わらせる」っていうタイトルだそうです。サウナランドの「老害座談会」を読んでもらった人は分かると思うんですけど、明石ガクトさんがカルチャーおじさんなんですよ。まあ、エセですけどね。エセカルチャーおじさんで…。

明石:おい!

三浦:カルチャー好きおじさん。

箕輪:(笑)。

三浦:カルチャーおじさんじゃない。カルチャー好きおじさん。令和の小山薫堂風。

明石:早速いじり倒してくるじゃん。今回はなんで箕輪と、そしてサウナランドなんかとコラボしたんだ!と、エストネーションに憤りを感じている。

三浦:なんでですか? いいじゃないですか! 俺らの友だちががんばって、こんな素敵なブランドとコラボできて。

箕輪:すごいよ? エストネーションのこの場所でこんなことが起きるなんて思った?

三浦:何が嫌なんですか? そんな。

明石:俺、2002年に上京してきたのね。そのあと六本木ヒルズすぐできてね。

箕輪:ほう。

明石:そっからね、エストネーションっていうこういう素敵な場所ができて、10代の頃の俺はそりゃもう憧れてたわけですよ。

箕輪:そもそもエストネーションってどういう場所なの?

明石:どういう場所かっていうと、一個いいエピソードがあって。20代のときに付き合ってた女の子がいたの。その子のファッションセンスがどことなく気に食わなくて。

箕輪:上智大学時代ですね?

明石:違う。社会人やってるとき。

三浦:ニフティ時代?

明石:ニフティで働いたことないわ! まあいいよ。なんかそのことについて話している時に険悪なムードになって。

箕輪:え? 彼女のファッションが気に食わなくて険悪なムードになるの? カルチャー好きおじさんって。

三浦:そういう時代よ。ファッションについて真剣に話し合う時代があったんですよ。

箕輪:そんな時代あったの?

三浦:あったあった。

明石:デートしてる時にちょっと気分上がんないってのがあった。

箕輪:分かんねー。

明石:分かんねーだろうなお前には。

箕輪:(笑)。

明石:まあ、それはそうと、今日は俺のエストネーションへの淡い気持ちを終わらせよう。

三浦:供養しよう。

箕輪:供養しよう今日で。

明石:なんていうの、それでどういう格好だったら好きなのって言われて、そこで俺言ったんですよ「エストネーションにいるような女性が好きだ」って。

箕輪三浦:ダセー(笑)。

箕輪:それはダサい。エストネーションはダサく無いけど、その発言は一番ダサい。

明石:エストネーションにいるような女性が。

箕輪:一番ダサい。こっちから別れたい。

三浦:女性を商品化するような。

箕輪:今の時代大丈夫?

三浦:アウト。

明石:いや、言いたいこととしてはエストネーションで売られているような洋服とかを好んで着用されるような女性が好きですっていう。

箕輪:つまりはシュッとした、何? ラグジュアリーかつ。

明石:違う違う。

三浦:エストネーションっていうのは港区のスーツを着ないで出勤できる金持ちのためのブランドなのよ。

明石:そう。

箕輪:分かりやすい。言語化力!

明石:2010年代において、ここに来るようなおっさんと女性っていうのはですね、ある種やっぱ俺らの中のヒエラルキーですごい上の存在だったのね。

三浦:分かる分かる。

箕輪:いやーすごいね。俺全然分かんないそれ。

三浦:オフィスに行くまでも無い弁護士事務所の上層部とか。

明石:そうそうそう。

三浦:イグジットした起業家とか。スーツを着なくても社会的なリスペクトを得られる人が着るブランドですよ。

箕輪:じゃあ俺、別に間違ってないじゃん。俺じゃん。

明石:いやーまあまあまあ。間違ってはない。だから嫌だって言ってるの。要はさ、なんつーかな、上京して来た人間にとって、ある種の東京の象徴のような場所で、憧れのファッションなんですよ。

箕輪:なるほどね。

箕輪が青春を奪っていく

明石:君さ小学校どこだっけ?

箕輪:僕は赤坂小学校。赤坂で走り回って、六本木のゲーセンで遊んでました。

明石:生粋のシティーボーイって感じだね。

箕輪:だから明石さんを見ても、田舎者が怒ってんなーとしか思わない。

明石:そう、そういうとこなの腹立つのは。なんつーのか、田舎者がやりたくてもやれなかったこういうことを、箕輪はおしゃれから一番遠いくせにやってるっていう。

箕輪:いや俺マルジェラ着てんだよ。

三浦:その、ごめんごめん。「エストネーション着てるような女性が好き」と、「俺マルジェラ着てんだよ」のおしゃれの民度の低さがすごい。

箕輪:なんか俺が赤いマルニのTシャツ着て、その上から赤いバレンシアガのジャケット羽織ってたらすごい怒ってたよね。

明石:怒るよそりゃ。

三浦:ブランドとの相性としてのがあるからね。組み合わせが悪いよ、組み合わせが。見城さんと糸井重里さんの本を並べてるようなもんよ。

箕輪:(笑)。どっちだよって。

三浦:お前、暴走族みたいな漢字使いたいのかなんでもとりあえずひらがなにしたいのかどっちだよみたいな。

箕輪:分かりやすい。

明石:サウナにしても、エストネーションにしても俺の大事なものを次々と箕輪が奪っていくわけだよ。

箕輪:そうだよね。明石少年が憧れた青山ブックセンターに俺の等身大パネルが置かれたり。

三浦:マガジンハウスでしょ、最大の問題は。

明石:さらっと自分の本だけマガジンハウスから出版するという。

三浦:青山ブックセンター、マガジンハウス、エストネーションでしょ? あと明石さんの生まれ故郷にあるサウナしきじもそうだし。

明石:俺を構成する4大要素。

箕輪:全部略奪したと。

三浦:明石さんの憧れであるマガジンハウスと青山ブックセンターとエストネーション。明石さんの癒しであるサウナ。全部箕輪がぐちゃぐちゃに商品化して。

箕輪:商品化(笑)。

三浦:誰もが使えるものにして、そこに対する聖なる何かを奪ってしまった。

箕輪:いや、今静岡とかにいる子がまたそれを見て明石さんみたいに育つんじゃないの?

三浦:箕輪を見て育った子は明石さんみたいにならないんじゃない?

明石:なんかこう、俺の大切なものは、脆くてキラキラした崩れやすいものなの。それをパッケージして、はい本にしました! はいTシャツにしました! って。

箕輪:よくわかるよ。俺が明石さんでもそれは悲しいね。まあ一旦置いといて、三浦さんのエストネーションの思い出は?

三浦:あのー、思い出はですね、いつ来ても俺のサイズがないです。

箕輪:そうなの?

三浦:明石さんまではある。明石さんと俺って似たような体型に見えるけど体重でいうと20キロくらい差があるわけ。

だから俺は六本木ヒルズよく買い物に来て、それこそ上のDESCENTEとかで割とよく買うんです。けどエストネーションは「これ、大きめのサイズあります?」って言って「すみませんお客様、、、」「ですよね、、、」って言って帰って行く。悲しい。体の大きな人の悲しみの象徴たる店です。

明石:そもそもこういうブランドは三浦のサイズを作ってない。

箕輪:なるほどね。

三浦:でもハイブランドは海外の方の体に合わせて作ってるから。割とある。

箕輪:あるよね。

三浦:エストネーションはやっぱ港区の富裕層向けに作られてるから。

箕輪:なんかシュッとしてるイメージある。

三浦:富裕層っていうのはジム行くじゃん。暇な時ちょっと。そういう人のためのブランドですよ。

箕輪:(笑)。僕のエストネーションデビューは与沢翼さんと来た時なんですよ。

三浦:下品!

箕輪:(笑)。

三浦:憧れだった、サイズがない、与沢と来た。どういう三人でエストネーションの話してんだよ。

箕輪:(笑)。ネオヒルズジャパンって雑誌を、26歳で作った時。表紙で与沢をレスリー・キーが撮ってくれたイカれた雑誌があるんですけど。

明石:それもそうなんだよ、何であれレスリー・キーなんだよ。

箕輪:(笑)。それでスタイリストさんがエストネーションで与沢翼さんの服探しましょうって言って、与沢さん50万持って来てもらったら、51万6千円とかで。

三浦:(笑)。

箕輪:与沢さんの前の会社が倒産したかなんかでクレジットカード使えない時期で、1万6千円取りにオフィスまで帰るっていう。

三浦:(笑)。地獄だね。貸してあげないんだ。

箕輪:貧乏だったから1万6千円も持ってなかったの。

三浦:双葉社時代ね。

箕輪:そういう思い出がありまして。まあ、お金持ちが来るオシャレなお店だなって認識で。30歳を越えてから来るようになったんですけど、服を選んでるのを見られるのが恥ずかしいって感覚分かります?

明石:分かんない。

箕輪:箕輪が一丁前に服選んでるって思われてるなって。

三浦:分かる分かる。

箕輪:あいつそこら辺にある服とか無造作に着てる顔して意外とちゃんと服選ぶんだって思われんのが嫌で。さっと帰ることが多かったんですけど、これからはウィーっスみたいに来れるかなと。

三浦:これからはね。

箕輪:これからは。

三浦:俺も友達がアパレルやってるからみたいな顔でエストネーション来よう。

箕輪:でもさ、夢の一個じゃない。アパレルでエストネーションとコラボとか。あるよね?

三浦:あるある。

明石:そりゃ夢だよ。夢だったよ俺だって。

敬意なき者への嫉妬と嫌悪

箕輪:言えばいいじゃん。

明石:いやいやいや。

三浦:うんうん。アパレルやりたいって。

明石:あのね、敬意とか畏れってものがね、なんだろうな、その辺が箕輪はなくて。

箕輪:ないね。

明石:で、乗り越えて行っちゃうところに俺は嫉妬しててさ。

三浦:箕輪は常に「歩くよそ者バカ者」だからさ。

箕輪:でも明石さんって常にさ、敬意と愛を持って、それを知らない人達に踏まれていくっていう人生送ってない(笑)?

三浦:カルチャーに対する非モテマインド。リスペクトし過ぎて触る前にフラフラしちゃうから。そのフラフラしてる感じが向こうから見るとちょっとキモいっていうか。触るなら触れよみたいな。

明石:それはその通りで、今日ほんと俺非モテマインドすごいなって思ったのは普段アップルウォッチ付けてるのに、今日の時計はロレックスなの。

三浦:(笑)。

箕輪:えー分かんない。その感覚。

明石:今日はエストネーションだしっていう。

三浦:明石さん一番やる気だったのに会場入りがギリだったじゃないですか。服に悩んだんでしょ?朝。

明石:あの何かね。

箕輪:え、分かんない、悩んであの服なの?(笑)。

三浦:だからファッションってのは意味だから。

箕輪:マルジェラとバレンシアガでいいんじゃないの。

三浦:うるさい、うるせーよ。

箕輪:それが正解なんじゃないの?

明石:俺はねいろんなブランドを教えてもらったんですよ、エストネーションに。

箕輪:へー。

明石:ストーンアイランドとかよく着てるけど、初めて買わせてもらったのが多分ここよ。だからさ、さっき背負って来たリュックにいっぱい服を詰め込んで今日は何着ようかなみたいな気持ちで来たら。来た瞬間にサウナランドのTシャツ渡されて。

三浦:え、何ここで着替えようと思ったの?

箕輪:気持ち入り過ぎてない(笑)?

三浦:スタイリスト気分で来てんのよ。俺が俺のスタイリスト。

箕輪:かわいい。

三浦:(笑)。そういう憧れてるとこを箕輪がぐちゃぐちゃにこのバレンシアガのスリッパで踏みしだいてるわけよ。

明石:ほんとだよ。バレンシアガにも俺にも謝って欲しい。

箕輪:でも俺、ハイブランドとかマジで興味無かったんだけど、目覚めたの三浦がきっかけだよ。

三浦:俺だっけ?あ、シンガポールで爆買いした時か。

箕輪:そうそう。

明石:あれが目覚めなの?

箕輪:そうよ。だから何年前?

三浦:三年前とか。青木真也の格闘技の試合をシンガポールまで観に行って。青木さんが負けてフラストレーションがすごくて。

箕輪:あと俺が炎上してたんだよね。

三浦:そう。炎上してて落ち込んでたから、よし、じゃあ爆買いして気分をととのえよう、って。

箕輪:ずっと教えてくれんのよ。ルイヴィトンのデザイナーってさみたいな。箕輪ってオフホワイトっぽいよとか。

三浦:最終的にシャネルとバレンシアガとオフホワイトの買い物袋をデブと出っ歯二人で抱えて。あれ楽しかったね。

箕輪:めちゃ楽しくて、俺さ文脈は好きなの。

三浦:はいはい。まあプロレスもそうだよね。

箕輪:そう。ブランドって文脈で考えるとおもしろいなって思って。メッセージの大喜利じゃん。

三浦:そうだね。

箕輪:あの「SSENSE」ってECサイトあるよね?

三浦:あるね。

明石:はいはい。

箕輪:俺あのサイトでTシャツ買ってて、要はブランドのメッセージも書いてあるから。

三浦:はいはい。

箕輪:このブランドはこういう想いでって。で、そのうちに俺もやりたいなーって思って、で「サウナランド」を作った時に、この雑誌のメッセージをアパレルにしようって思って。で、Tシャツとか作って。

明石:何だろう。完璧にストーリーの筋は通ってるんだけど納得いかないこの感じ。

火付け人の軽さ

箕輪:(笑)。俺のことSNSで知ってるだけの関係性だったら超文句言ってるでしょ?

明石:超文句言ってる。本当に。

箕輪:てことは明石さんの裏にいる明石ガクト的な人に俺はめちゃめちゃ嫌われてるんじゃないかなって。

三浦:うんうん。そうだろね。あれだよ。いつか箕輪の興味が終わるだろうってみんな思ってんじゃない?

明石:そこなんだよな。

箕輪:(笑)。

三浦:要はさ、明石さんなり、明石さん的な人はさ、好きになったカルチャーと添い遂げる覚悟はそれなりにあるわけ。

明石:ファッションもさ、ずーっと好きなの。ずーっとこういう感じでやってるわけ。

三浦:まあ着てんのはサウナランドTシャツだけど。

箕輪:(笑)。

明石:着てみたら意外といいんです。

箕輪:いいよね。エストネーションは質がいいのよ。

明石:さすがここはエストネーション。

三浦:それで箕輪が突然現れて突然好きになって、また突然いなくなっちゃうってことに対する不信感があるわけよ。

箕輪:分かる。よくTwitterでエゴサーチしてると書かれてるのは、「頼むから箕輪、俺の好きな業界にだけは来ないでくれ」って。

三浦:そういうとこほど行きたがるでしょ。次はアナログレコードとか作り始めるでしょ。

箕輪:海老蔵さんと一緒に歌舞伎のプロジェクトやってるんだけど「『箕輪と絡むな』って義務教育の段階で教えた方がいい。」ってツイート見て笑った。

三浦:そういう所に出てくるって素晴らしい評価だよ。ちょっと羨ましいわそんなの。

箕輪:なんかウワーって来て荒らしていく感じが嫌なんだろうね。

三浦:そうだろうね。その短期的にさ、一気にこう熱を付けてさ、一気にマネタイズして、一気に帰っていくじゃん。

箕輪:俺そんなつもりない。いるじゃんずっと。

三浦:いや、そういう感じに見えてるんだよ。

明石:このビジネス芸人ブームもバーンって作って、誰よりも早くそこの現場を去って行ったからね。

箕輪:いや強制退場だからさ。

エストネーションの抜け感としてのサウナランド

箕輪:でもなんかどうっすか。このショップ見て。

明石:素晴らしいよね。ここは普段スニーカー売ってるところなんですよね。俺ほどのエストネーションマニアになればここが何のエリアか分かるんだけど、あそこにおいてあるソファーが普段ならここにあるんですよ。

三浦:俺は明石さんから教えてもらったホカオネオネはここで買いましたけどね。

明石:ホカオネオネを日本で取り扱うのが早かったのもエストネーションなんですよ。だからこそ、すごい選球眼のあるエストネーションがなぜサウナランドと組んだのかというのが本当に謎で。

三浦:ストーンアイランドやホカオネオネを持ってきたエストネーションがサウナランドコーナーを。

明石:もしかしたら俺が分かってない何かがあるのかもしれないなって思ったんだけど。

三浦:逆にエストネーションの人に聞きたいもん。なんでサウナランドと…。

箕輪:それはやっぱり思想があるからですよ。サウナランドには。サウナ情報誌とは違うんですよ。思想書なんです。

三浦:そのーお金持ちを恥ずかしいと思う文化が、サウナランド×エストネーションを生んだと思ってる。

箕輪:どういうこと?

三浦:つまりさサウナランドっていうのはさ、出版で一回やり尽くした箕輪がさ、何かに飽きてさ、見つけたサウナをさ、一生懸命やってみたらドンドン広がっていった。つまり計算づくとか、お金持ちがお金持ちになるべくしてやったことと違うものじゃん。

箕輪:全くそう。

三浦:でもそれ自体もお金持ちの階級の中にあるわけよ。「仕事とか世間の評価のためだけに生きてるんじゃないよ。だってこういう服着てるもん。」みたいな自然体ぶったメッセージを、お金持ちが発するブランドとして。

箕輪:なるほど。言語化が凄いね。

三浦:エストネーション全体の抜け感として機能してるわけ。

箕輪:君さ、クリエイティブディレクターになった方が良いよ。

三浦:よくクリエイティブって言われるんだよねぇ。

明石:なんか俺、今までの人生の進み方を間違えてたかなと。

箕輪:そうよ。

明石:俺らが10代の頃に憧れてたものってこうやって作られてたのかもしれないなって。

三浦:一方で言ってしまえば貴族の遊びだから、そういうものが反感を買うのも事実じゃん。我々は自分たちの内なる加害性を見つめながら生きていかないといけない。って。

箕輪:急に何を心配し出したんだよ。

「本当の人たち」からはバカにされている説

三浦:でもさ明石さんって編集をしたい人なんだよね。

明石:そう。編集したい。

三浦:編集者になった方がいいと思ってて、会社社長より。令和のBRUTUS作って、令和の西田善太(BRUTUS編集長)になった方がいいってずっと言ってるんですよ僕。

箕輪:やった方がいいですよ。でもこだわっちゃうんだろうなぁ。売れなくて3号とかで廃刊になっちゃうの。

三浦:でも尊敬されると思う。

箕輪:尊敬はされると思う。でも本当のカルチャーの人からは尊敬されてるの?明石さんって。

三浦:そこ課題で、なんか明石さんは本当に好きなんだけど本当に好きなように思われてないですよね。悲しいんだよね。伝わってない。

箕輪:本当そうだよね。俺はさ、カルチャーというものを食い物にしてるクズだって思われてるの。高円寺に住むフォロワー8000人ぐらいで個展やってるような人達からは。

三浦:ちょっと誰のこと言ってんの?(笑)。

箕輪:わかんないけどさ、そういう人いるじゃん? 本当にカルチャー愛してる側の人。

三浦:絶対その人オリンピック開催、反対してるよね。

箕輪:そう。してんの。古本屋に通うのが好きなの。その方達に、嫌われてんじゃん。でも、明石さんは、マインドはそっち側なのに、そっち側からは俺側だと思われてるよね。

三浦:動画っていう言葉がちょっとあれですよね。もったいなかったかもしれないですよね。

箕輪:もったいなかった(笑)。

三浦:でもあの瞬間、そこで戦うしかなかったですもんね。

明石:でもさ、好きだからさ。動画自体。好きだし、バリバリ今TikTokのエフェクト作ってますよ。

箕輪:明石さん、何がガチかは一回置いといて「カルチャー系です」っていうど真ん中の人と対峙したらどういう扱いされるんですか?

三浦:「意外に知ってるねぇ!」ってなるでしょ?

明石:そう。「意外に知ってるねぇ!」だね。

三浦:「なんだこっちじゃ~ん!」ってなるでしょ。「あっちだとばっかり思ってたよ」みたいな。

明石:話してやっぱり理解されるよね。だからやっぱ、パブリックイメージが「こっち側の人」だよね。

箕輪:それはどうなの? いいの?

明石:それはいいか悪いかって言ったら、あんまりいいことではない。

箕輪:イメージ変えたほうがいいね。そう、明石さんにカルチャー本を出してもらおうと思って。昔のコラム集みたいなやつ。

明石:今めっちゃ書いてるね。

三浦:松浦弥太郎スタイルってこと?

明石:うん、そう。

三浦:明石ガタ郎?

明石:108個の俺のカルチャーコラム集まった本、今作ってる。

三浦:え~!!

箕輪:タイトルは?

明石:『健康八方塞がり』(笑)。

三浦:ちょっと楽しみだね。

箕輪:目次読んでおもしろそうだったよね。

三浦:それ、どっから出すの?

明石:幻冬舎。

三浦:ダメだよ!(笑)。

箕輪:それが明石ガクトの詰めの甘さ(笑)。

三浦:明石ガクトの限界なんだよ(笑)。

明石:マガジンハウスからは俺、声かかんないのよ。

箕輪:なんでだろう?

三浦:お願いしに行こうよ、三人で。

明石:あとさ、ここは六本木だとJ-WAVEあるじゃん。J-WAVEからも一向に呼ばれない。

箕輪:だから本当の人からはバカにされてんだよ。

三浦:バカにされてるっていうか、違うっていうか。自分たちとは違う生態系だと思われてるよね。

箕輪:逆に、おんなじだからイヤなんじゃない?俺はマガジンハウスから本出して、J-WAVEのイベント出演してるよ。

三浦:箕輪は対極だと思われてるけど、明石はニセモノだと思われてんじゃないの?

箕輪:ひどい!(笑)

三浦:いや分かってるでしょ? 俺が明石さんをマジで尊敬してることは。

箕輪:そこは伝わってる。でもひどい(笑)。

「カルチャー」に対する尊敬と距離感

三浦:だから、会いに行こうよ。「俺はホンモノだ! 」って西田善太さんに言いに行こうよ。

箕輪:ホンモノとニセモノって何なの?

三浦:だから彼らからしてみたら、恒久的な愛を持ってるかだよね。インスタントに入ってきて、インスタントに去っていく人間だと思われたらやっぱり。

明石:なんかシーンに対して、ずっと貢献するマインドがあるかどうか。そこに資する心があるかどうか。それを見られてるんだろうね。

箕輪:どういうこと?

三浦:(笑)。

明石:共通言語がないな。そこに共通言語がない。

箕輪:要は「一緒にシーンを作っていこう」みたいなことでしょ?

三浦:「作っていこう」じゃない「続けていこう」だな、どっちかっていうと。

箕輪:でもさ、続けることが目的なんじゃなくて、その瞬間その瞬間の、勢いあるやつとか、愛を持ってるやつとか、バカなやつとか、頭だけいいやつとか、ごちゃ混ぜになって結果できるのがシーンじゃん。

三浦:いやいやいや。それもわかる。それもわかるんだけど、それをやりすぎるといつか終わってしまうという危惧があって。箕輪に言わせれば、こんなのそもそも、始まってもないじゃねえかっていう主張もある。そこはだから、対極同士で話し合えばいいことなんだけど。

明石:ヒップホップの世界に「セルアウト」っていう言葉があって、シーンに貢献するようなドープなものをみんなで時間をかけて積み上げてきたのに、ある日マス向けに売れるようにいいとこだけをヒョイヒョイヒョイってやって、商業的に成功することなんだけどさ。

箕輪:でもさ、俺はそんなつもりないよ。

三浦:箕輪はセルアウトの才能あるよ。

箕輪:単純に、俺は普通に生きてきてやりたいことやってるだけよ。

三浦:わかってる。わかってるが、やりたいことやってるだけっていうのは、すごく無責任な発言で。それは、双葉社の無名な編集者箕輪がやる分にはいいけど。

箕輪:なるほど。

三浦:今の社会的存在である箕輪がそれだけを言うのはちょっと無責任だと思われるわけ。

箕輪:なるほどね。よくわかった。

三浦:青山の夜な夜な文化人が集まるバーがあるんだけどね。

箕輪:嶋さんがよくいるとこね。

三浦:そうそうそう。あそこに行って、4~5人で飲んでたわけ。そしたら、そのとき著名な人とか連れていって、お店のためにもなるかなと思って。そこで「ウーマナイザーはすごい」っていう話をしてたの。

箕輪:お前大丈夫かよ(笑)。

明石:大丈夫か?(笑)。

三浦:そしたら、西田さんに後ろからバコーンって頭叩かれて。

箕輪:えっ?!

三浦:「この店でそんな話すんじゃねーよ! 」って言われたの。

箕輪:そんなガチの人なの?

三浦:それは後で西田さんと話したんだけど、「お前がいろんなやつ連れてきて、お店を盛り上げてくれるのことはうれしい。だけど旧来の客が居心地悪くなっちゃったら、お店長続きしなくなるだろ? 」

箕輪:それ、カルチャーっぽい。

三浦:そう。「お店がどう思ってるか知らない。でも お店の空気みたいなものを壊さない盛り上げ方はないの? 」みたいな話をしてて、それってカルチャー全体の話じゃん。

箕輪:めちゃめちゃ今のわかりやすい。

三浦:それだったらわかるでしょ。

箕輪:カルチャーの人って感じがする。

三浦:うん。軽いな(笑)。

箕輪:でも、俺はそういう感じには考えなくて。それぞれが自由に楽しくやった結果、どうなったかがカルチャーでしょ? って思ってる。

三浦:っていうのもあるよね。どっちが正しいとか全然あれなんだけど。カルチャーというものを枯山水のように整えて育てていくやり方もあれば、ジャングルのようにどんどん刈って盛り上げていくやり方もあって。

箕輪:たしかに。

三浦:それは「ジャングルと枯山水どっちが好きなの? 」っていう話だから。明石さんは枯山水が大好きなわけよ。

箕輪:そうだね。枯山水の「ここのこれが」とか言ってんだよね。

三浦:「水のここの一滴を広げるこれがまるで森羅万象」みたいな感じになるわけよ。お好きなわけ。だけど明石さんは、はたから見るとジャングルの中の木の1本だと思われてるから、かわいそうだなっていうことですよ。

箕輪:そうね。だから枯山水的な人がすごいって評価してくれる仕事をするってことだよね、これから。でも別に、仕事でそれをやりたいわけじゃないんのか。

明石:仕事は、でっかい仕事したいじゃん、やっぱり。

箕輪:そうすると、ジャングルやんないとダメ。

明石:ジャングルやんないとダメだね。仕事としてはそういう世界に生きてるのに、俺個人の性格としては、めちゃ枯山水タイプだから。そこのアンビバレンスに悩んでるんだよね。

三浦:明石さんはやっぱ、ビジネスとしてはものすごくトップスピードで走ってる経営者なんだけど、個人としてはカルチャー好きおじさでありたいっていう。

それでも残るもの

箕輪:おもしろいね。タイプってさ、30代後半から、もうどうにもならないくらい分かれてくよね。人生とか、価値観の問題として。何がいい、正しい、悪いじゃなくて。どうしようもなく分かれてって。だから俺、カルチャー寄りにもう絶対なれない。

三浦:なれない。なる必要もない。で、それがまたカルチャーになるのよ。その走り切った姿が。

箕輪:結果としてね。

三浦:サウナランドだってこうやってカルチャーになりつつあるじゃない。

箕輪:俺、サウナランド作るとき、ちょっとカルチャーの人のモノマネしてたら絶対なかったよね。

三浦:そうそう。いつもの、箕輪のNewsPicksで知り合った仲間たちが、サウナのことをドヤドヤ語るから一個ジャンルが成立して。もちろんそれによって、旧来のサウナ好きは「うるせえなあ」とか、「なんか意識高い界隈の集まり」みたいに嫌う部分もあるんだけれども。アンチテーゼがあって、それも包括するくらいサウナっていうものが大きいから。

箕輪:すごいね。優秀だね。三浦って本当成長したよね(笑)。

三浦:ありがとうございます。とにかくね、人を傷つけない喋りを心掛けてます。

明石:そのさっきのバーの話みたいなのって、いろんなとこであって。

箕輪:サウナなんて特にあるよ。

明石:芸能人が「ここのラーメン好きなんです。」って言ったら、ファンがめっちゃ並んじゃって。本来は味で有名になるべきなのに、〇〇くんが好きなラーメンだからって。

箕輪:あるある。

明石:俺が昔住んでた広尾の家の近くにあったんですよ。それでファンの女の子がバーンって並んじゃって。俺としては特に思い入れある店じゃなかったんだけど、週2回ぐらい行ってたみたいなお客さんが全部他に流れちゃって。で、いつかやっぱその女の子たちもいなくなっちゃう。そうすると店が潰れちゃうのよ。

三浦:でも明石さん言ってたことはすごい象徴的で、「思い入れが持てない味」って表現をしてて思ったけど、美味しかったら潰れなかったよね。そこでね。

明石:確かにね。それはもちろん美味しかったら潰れなかったんだけど、今までは。でも現にさサウナランドでサウナ流行ってるわけよ。いつも混んでる。

箕輪:しきじ行ったら1時間半待ちだった。

明石:でしょ。ご近所の何気ない銭湯ですら、今入場待ちだからね。

箕輪:改良湯とかもヤバいから。サウナ入れない。

明石:改良湯ね。渋谷の。で、箕輪がいつか飽きるでしょ。

箕輪:飽きないって。

三浦:で、サウナランドからトイレランドになる。

箕輪:どういう人生なんだよ。なんで次にトイレにハマるの。

明石:サウナをやり切ってくれるならいいよ。パーって離れて、仮に今日ここに8,000人の応募があったと。そしてその8,000人がさ、サーっと波が引くようにいなくなっちゃったら、潰れるとこいっぱいあるんだよ。多分。

箕輪:俺なんて別にサウナブームの一部しか担ってないと思うけど、そんなのを繰り返して歴史って進んでいくもんなんじゃないの。そりゃあさ、「守ろう! 守ろう! 」って言うのもありだけど、結局は大きな時代の流れにとっては無力で、なるようになるよ。

三浦:このサウナランドで、ファッションを全然分かんない人が押し寄せて、普段ここで服を買ってる人たちはちょっときついなぁと思う。エストネーションってこんなんだっけって。この波が引いた後にもちゃんと良いものを売ってたら帰ってくるけど。「ちょっともうないな。」ってなっちゃう可能性もあるってシンプルな話なんだよ。

箕輪:俺は前に歌手デビューした時に「徒花」って曲歌ったんだけど、時代の徒花になりたいの。「あれなんだったの。」みたいな。無意味が良い。「無意味だけど派手だった。」とか、「無意味だけど大きな音した。」とか。

三浦:箕輪が「巨大な無意味でありたい」っていうのはすごい言葉だと思うし、いい考えだと思うよ。要は「何かを変えたい」とかじゃなくて、大きな爆発音を届けたい。ドッカーンって。

箕輪:家にいたりすると、いきなり大きな音する時あるじゃん。「バーン」って。でも理由が結局何も分からないことってあるじゃん。「あれなんだったの。」って。ですぐ忘れちゃうじゃん。そういう存在になりたい。

三浦:箕輪こそファイアバグだよね。

箕輪:ファイアバグでありたい。

明石:サウナーにはファイアバグ来ないで欲しいと思ってるやつがいるんだよね。

三浦:でもファイアバグって放火魔って意味だから、勝手にやってきて勝手に火を点けちゃう。その焼け焦げた何かが、味わいになるのか、燃え尽きて死んでしまうのかは、それはもう問われるしかないってことなんだよね。

箕輪:うん、俺が判断することではないね。

三浦:だから箕輪厚介って人間は「巨大な放火魔」であると。サウナとエストネーションが箕輪に点けられた火に耐えられたかどうかですよね。

明石:なんかすごい今の三浦先生の言葉、腹に落ちた。ここまで話してきて、結局俺みたいな客の方が嫌われてるんじゃないかと思ってきたよ。

箕輪:エストネーションがやってることに憧れてるだけだからね。

三浦:でもモノは買うでしょ。

明石:イチ消費者よ。

三浦:箕輪がエストネーション×サウナランドで出す利益と、明石さんが生涯でエストネーションどれだけ買うかの戦いですよ。エストネーションへの愛のバトルですよ。

明石:そうだね。

三浦:やっぱり買うのが好きなんじゃなくて、買ってる自分が好きなんじゃない。

明石:今日はエストネーションで財布を軽くして帰るよ。

一同:(笑)。


編集:箕輪厚介
書き起こし:大村祐介氷上太郎しばたゆうこ